+ + + + + + + + + +
「それで?今回はどういう用向きでレグルスの所に?」
「…ん、東の川に仕掛けといた網にそろそろ魚がかかってるかなって」
「………先週の大水が引いたばかりで危ないから近づくなと童虎に言われてなかったか?」
「俺がついてるから大丈夫だと思うよ?」
「それに本当に危ないとこまでは行ってないですし」
「……耶人…お前まで…」
椀を手にしたまま問いかけたシオンにテンマは粥を飲み込んでそう答える
呆れたように更に問えば、今度はレグルスが悪びれもせず言葉を返す。あげく耶人と呼ばれた少年もそれに同意している
諦めも混じっているのか、シオンは注ぎ足した粥をレグルスに渡しながら小さく息を吐く
「それにしても二人とも修行も最終段階に入っているのにずいぶんと余裕だな」
「だからだよ、気を張り詰めっぱなしじゃ、うまく小宇宙が燃やせない」
テンマの言葉に「一理あるな」と呟いて自分の分の粥をよそった
「あ、そういうことだから童虎には黙っててくれよな」
「何が、そういうこと。だ」
笑顔で言ってくるテンマに短く返すと今度はレグルスがシオンの顔を覗きこむように首を傾げた
「………ダメなのか?」
日本にいる青銅たちと変わらない年頃の少年が、それでいて幼く見える仕草で問いかけるとシオンは答えに詰まる
「まぁ…唯一わしらより年下の黄金と言う事もあって、レグルスには甘かったからの…というより奴は昔から子供に甘い」
「…私にとっては幼い頃から非常に厳しい師でしたけどね」
「そりゃお前、どう見てもあの3人とお前とじゃ『可愛げ』ってもんに差がありすぎ…」
肩を竦めながらそう言ったムウに答えたミロは思いっきり足を踏まれて黙り込む
「ああ、そういえば網を仕掛けた後にアテナ様と会ったんだ、そしたら仕掛けを外す時は自分も誘ってくれって」
「サーシャの奴、何言ってんだよ…まぁ昔っからそういうとこはあったけどさ、お転婆っていうか」
「まさか、承諾してはいないだろうな?」
「そんな事したらセージ様やシジフォスに怒られるって!アテナ様は女の子なんだから無茶はいけないって言ったよ」
思い出したように口にしたレグルスに皆が一瞬顔を強張らせるが、最初に立ち直ったらしいテンマは呆れたように零した
詰問するようなシオンの言葉には慌ててそう答える
「ならばいいがな」
「あ、食べ終わったら片付けるの手伝います」
「遠慮する、水屋は修繕を終えたばかりなのだ…早々に壊されてはかなわないからな」
PR
この記事にコメントする