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「いや、時代は間違っておらんよ…なんとも懐かしい顔じゃ」
そう言いながら童虎は、仮眠用と思われる寝台で毛布に包まり眠っている人物を懐かしそうな目で見下ろす
「この少年をご存知なのですか?」
「ああ、彼は………」
どうやら目覚めたらしい人物がパチリと目を覚まし、身体を起こすと包まっていた毛布が滑り落ち
何も纏っていない日焼けした痩躯が露わになった
「な…!!一体これってどういう事ですか?!」
「こんな頑是無い子供に手を出すとは…教皇もお若い頃は無茶な方であったようですな」
「いや…レグルスとわしらとは3つしか離れとらんかったが…」
「ふむ…その名ですと、間違いなくこの少年はアイオリアの先輩ですね」
予想外の展開に皆が口々に好き勝手な事を言っていると(ムウは相当混乱していたが)
視界の端を何かの影が横切った…そしてそれはレグルスの顔に勢いよく当たった…どうやら布の塊だと判断する
「ほら!服が乾くまでそれを着ていろ、ついでに粥があるから食べて身体を温めろ」
「うん、ありがと!助かったよ、本当に凍え死ぬかと思っちゃったんだから」
「……この汗ばむような陽気の日にな…何をやってデジェルを怒らせた?」
「ああ、確か当時の水瓶座がそういう名だと聞いたことがあります…つまりダイヤモンドダストでも受けて逃げ込んだんですね
だったら、着替えを用意するまで凍りついた服を着ているより裸で毛布に包まってた方が寒くないですし」
「だとすれば、それこそ何やったんだという気もするが」
「大方、書物に飽きて逃げようとしたんじゃろうな…いつもの事だったし」
「史書読んでたら眠くなってさ、ペンを落とした振りして逃げようとしてみたんだ…で、書庫を出てちょっとのところで追いつかれた」
麻のシャツとズボンを履くまではしたが、上着とストールの着け方が解らないのか首を傾げながら答える
シオンはそれを聞いて、呆れたように溜息を吐き手際よく上着とストールを着せてやった
「後でちゃんと謝っておくのだな。まだ子供とはいえ、戦士とは知識だって必要なんだぞ」
「分かってるよ…シジフォスにも怒られるよなぁ…けどさ俺達三人とも勉強は苦手なんだ」
「あとの二人の事は童虎やカルディアが考えているだろう…さて粥も温まったようだし、よそってくるか」
そこに忙しない足音と共に声が飛び込んでくる
「シオンちょっと通らせて…あ、なんかいい匂いする!!」
「どんだけ食い意地張ってんだよ!このバカ!あ、すいませんシオン様。ちょっと獅子宮まで…ってお前いたのかよ」
振り返れば向こうっ気の強そうな顔をした東洋人と思われる少年が、もう一人の少年を床に足で押さえつけている
恐らく蹴り倒した勢いそのままなのだろう、と微笑ましく思うべきなのか少しだけ悩む
どうやら彼らが言っていた『あとの二人』とはこの少年達の事らしいとは理解した
少年達を…特に床に突っ伏したままの少年を見る童虎の視線がそれを物語っている
「そういえば、じき昼だったな…お前達の分くらいは余裕もある、食べていくか?」
「いいのか!よかった、俺腹減ってたんだよ!」
そう言って顔を上げた少年を見て、皆が目を疑った。その少年はよく知る人物に瓜二つだったのだ
「…星矢?!いやよく似てはいるけど、別人だ…」
「あやつはテンマ…あの時代の天馬星座の聖闘士じゃよ、わしにとっては弟のような奴じゃった」
「前聖戦の天馬星座?!あの少年が?…偶然というにはあまりにも…」
「同じ星を受け継ぐもの同士、何か似たところもある…それだけのことじゃ」
それだけではない、何かもっと深い繋がりが星矢とテンマの間にはあるような気がしたが
実際に二人のペガサスには繋がりがあるのか、あったとしてもそれが何なのか
童虎もシオンも女神も語る事は無いだろうと皆が感じていた
そう言いながら童虎は、仮眠用と思われる寝台で毛布に包まり眠っている人物を懐かしそうな目で見下ろす
「この少年をご存知なのですか?」
「ああ、彼は………」
どうやら目覚めたらしい人物がパチリと目を覚まし、身体を起こすと包まっていた毛布が滑り落ち
何も纏っていない日焼けした痩躯が露わになった
「な…!!一体これってどういう事ですか?!」
「こんな頑是無い子供に手を出すとは…教皇もお若い頃は無茶な方であったようですな」
「いや…レグルスとわしらとは3つしか離れとらんかったが…」
「ふむ…その名ですと、間違いなくこの少年はアイオリアの先輩ですね」
予想外の展開に皆が口々に好き勝手な事を言っていると(ムウは相当混乱していたが)
視界の端を何かの影が横切った…そしてそれはレグルスの顔に勢いよく当たった…どうやら布の塊だと判断する
「ほら!服が乾くまでそれを着ていろ、ついでに粥があるから食べて身体を温めろ」
「うん、ありがと!助かったよ、本当に凍え死ぬかと思っちゃったんだから」
「……この汗ばむような陽気の日にな…何をやってデジェルを怒らせた?」
「ああ、確か当時の水瓶座がそういう名だと聞いたことがあります…つまりダイヤモンドダストでも受けて逃げ込んだんですね
だったら、着替えを用意するまで凍りついた服を着ているより裸で毛布に包まってた方が寒くないですし」
「だとすれば、それこそ何やったんだという気もするが」
「大方、書物に飽きて逃げようとしたんじゃろうな…いつもの事だったし」
「史書読んでたら眠くなってさ、ペンを落とした振りして逃げようとしてみたんだ…で、書庫を出てちょっとのところで追いつかれた」
麻のシャツとズボンを履くまではしたが、上着とストールの着け方が解らないのか首を傾げながら答える
シオンはそれを聞いて、呆れたように溜息を吐き手際よく上着とストールを着せてやった
「後でちゃんと謝っておくのだな。まだ子供とはいえ、戦士とは知識だって必要なんだぞ」
「分かってるよ…シジフォスにも怒られるよなぁ…けどさ俺達三人とも勉強は苦手なんだ」
「あとの二人の事は童虎やカルディアが考えているだろう…さて粥も温まったようだし、よそってくるか」
そこに忙しない足音と共に声が飛び込んでくる
「シオンちょっと通らせて…あ、なんかいい匂いする!!」
「どんだけ食い意地張ってんだよ!このバカ!あ、すいませんシオン様。ちょっと獅子宮まで…ってお前いたのかよ」
振り返れば向こうっ気の強そうな顔をした東洋人と思われる少年が、もう一人の少年を床に足で押さえつけている
恐らく蹴り倒した勢いそのままなのだろう、と微笑ましく思うべきなのか少しだけ悩む
どうやら彼らが言っていた『あとの二人』とはこの少年達の事らしいとは理解した
少年達を…特に床に突っ伏したままの少年を見る童虎の視線がそれを物語っている
「そういえば、じき昼だったな…お前達の分くらいは余裕もある、食べていくか?」
「いいのか!よかった、俺腹減ってたんだよ!」
そう言って顔を上げた少年を見て、皆が目を疑った。その少年はよく知る人物に瓜二つだったのだ
「…星矢?!いやよく似てはいるけど、別人だ…」
「あやつはテンマ…あの時代の天馬星座の聖闘士じゃよ、わしにとっては弟のような奴じゃった」
「前聖戦の天馬星座?!あの少年が?…偶然というにはあまりにも…」
「同じ星を受け継ぐもの同士、何か似たところもある…それだけのことじゃ」
それだけではない、何かもっと深い繋がりが星矢とテンマの間にはあるような気がしたが
実際に二人のペガサスには繋がりがあるのか、あったとしてもそれが何なのか
童虎もシオンも女神も語る事は無いだろうと皆が感じていた
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